2026年4月施行「改正森林経営管理法」の全容:山林所有者が直面する新制度と所有者不明森林への対応

2026年4月1日、日本の林業と森林管理の在り方を根本から変える重要な法改正が施行されます。
「森林経営管理法」および関連法の改正です。

この改正は、増え続ける所有者不明森林や放置山林の問題を解決し、日本の森林資源を経済的・環境的に持続可能な形で活用するための抜本的な措置を含んでいます。

特に、相続によって山林を手にしたものの、境界や管理方法が分からず放置している所有者にとって、今回の改正は「行政による管理代行」や「権利移転の迅速化」といった直接的な影響を与えるものとなります。

本記事では、2026年度からの新制度の仕組みと、所有者が知っておくべき実務上の変更点を専門的視点から解説します。


目次

■森林経営管理法とは

森林経営管理法とは、2019年4月に施行された法律で、手入れが行き届いていない森林の経営管理を、意欲ある林業経営体や市町村に集約・委託することを目的とした制度です。

具体的には、森林所有者が自ら管理できない場合、市町村がその森林の「経営管理権」を預かり、適切な林業経営者に委託する、あるいは市町村自らが公的に管理(公的委託管理)を行う仕組みを定めています。

今回の2026年改正では、この「権利の集約化」を阻んでいた手続き上の課題を解消するための特例措置が大幅に強化されました。


1. 森林経営管理法がなぜ改正されるのか?2026年における背景と目的

2026年現在、日本の森林は戦後植えられた人工林が利用期(主伐期)を迎えており、「伐って、使って、植えて、育てる」という森林資源の循環利用が喫緊の課題となっています。

しかし、現実はそのサイクルが十分に回っていません。

森林集約化の阻害要因

最大のボトルネックは、小規模な所有者が分散していること、そして相続の繰り返しによって「誰が所有者か分からない」「連絡がつかない」山林が急増していることです。

従来の制度では、森林の経営管理を行うために所有者全員の同意を得る必要があり、一人の反対や不明者がいるだけで、地域全体の整備がストップするという事態が頻発していました。

資源循環とカーボンニュートラルの両立

また、2050年のカーボンニュートラル実現に向け、森林によるCO2吸収能力の維持・強化は国家戦略の柱です。適切に伐採し、再造林(木を植え替えること)を行わない限り、森林の吸収力は衰えてしまいます。

今回の改正は、こうした経済的要請と環境的要請を背景に、森林の集積・集約化を強制力を伴ってでも加速させることを目的としています。

2. 所有者不明森林への対応が加速する「2026年4月1日施行」3つの重要変更点

2026年4月の施行により、これまで数年単位で停滞していた森林整備が数か月単位で動き出す可能性があります。特に重要な3つの変更点を深掘りします。

① 経営管理権設定の公告期間を6か月から「2か月」へ大幅短縮

所有者が不明な森林に対して、市町村が経営管理権を設定する際、これまでは「所有者を探しています」という公告を6か月間行う必要がありました。

しかし、今回の改正により、この期間が「2か月」に短縮されました。これはかなりでかい差です。。
この4か月の差は、林業の現場において「伐採シーズンを逃さない」という実行スピードの差となって現れます。

自治体による所有者不明土地の活用が、より実効性の高いものになります。

② 共有林の同意要件緩和:持分「過半数」の同意で経営管理が可能に

最も実務的なインパクトが大きいのが、共有林における同意要件の緩和です。

これまでは共有者「全員」の同意が必要でしたが、今後は持分の「過半数(持分2分の1を超える者)」の同意があれば、市町村が経営管理権を設定できるようになります。


相続によって数十人の共有名義になっているケースでも、連絡がつく主要な親族の同意だけで適切な管理が行えるようになり、一部の反対者による停滞を防ぐ設計となっています。

③ 「経営管理支援法人」の指定制度導入:市町村事務の法的外部委託

市町村の専門知識不足や人員不足を補うため、NPO法人や一般社団法人などを「経営管理支援法人」として指定できる制度が新設されました。

支援法人は、森林所有者の探索や境界の明確化、意欲ある林業経営体とのマッチング業務などを市町村に代わって実施します。

これにより、これまで行政が着手できていなかった微細な所有者調査や、現場での交渉が民間の力を借りて加速することになります。

3. 新設される「集約化構想」と「権利集積配分一括計画」の全容

今回の改正では、これまでの「点」での管理から「面」での管理へと、より大規模な集約化を目指す2つの新スキームが導入されます。

地域の実情に応じた森林の将来像を描く「集約化構想」

市町村は都道府県と共同で、地域の林業経営体を含む関係者と協議し、「集約化構想」を策定できるようになります。

これは、どのエリアをどの路網(林道)でつなぎ、どの林業経営体に託すのかを明確にする「森林の都市計画」のようなものです。構想に明記されることで、補助金の優先配分やインフラ整備の計画性が向上します。

権利移転を迅速化する「権利集積配分一括計画」

これまでは物件ごとに権利設定の手続きが必要でしたが、新制度では複数の森林の権利設定(所有権の移転を含む)を「一括計画」として定めることができます。

一度の公告・承認で、地域全体の森林の受け手を確定させ、所有者から経営体へとスムーズにバトンを渡すことが可能になります。特に、再造林に責任を持って取り組むことが認定された「認定林業経営体」への集約が優先される方針です。

4. 山林所有者が確認すべき「森林環境譲与税」の活用状況と自治体の動向

2024年度から本格化している「森林環境税(住民税への上乗せ徴収)」により、自治体には「森林環境譲与税」として多額の財源が配分されています。2026年、この財源の使い道が、森林経営管理制度の運用へとより色濃くシフトします。

自治体による意向調査への対応

山林所有者のもとには、市町村から「あなたの森林を自分で管理しますか、それとも委託しますか?」という意向調査書が届きます。

これに回答しない、あるいは適切な管理がなされていないと判断された場合、新法に基づいた「公的委託管理」の対象となる可能性が高まります。
法改正後は公告期間が短縮されているため、気づかないうちに自動的に手続きが進んでしまうリスクを避けるためにも、自治体からの通知には迅速に対応する必要があります。

5. 放置山林の資産価値を維持するために:2026年からの森林管理戦略

山林は放置すればするほど、境界が不明瞭になり、風倒木や土砂災害のリスクが高まります。これは資産価値の低下だけでなく、所有者としての損害賠償責任を問われるリスクにもつながります。

境界明確化と資産整理の好機

2026年4月の改正は、所有者にとって「山を整理する絶好のチャンス」でもあります。新制度による集約化の流れに乗れば、境界確定にかかるコストを自治体や支援法人が肩代わりしてくれるケースも増えるでしょう。

放置して「負動産」にするのではなく、法改正の波を活用して、J-クレジットの創出や適切な立木売却、あるいは公的委託への切り替えを検討することが、現代の賢明な森林所有者の在り方です。

まとめ:法改正を理解し、持続可能な森林管理のパートナーへ

2026年4月施行の改正森林経営管理法は、単なる規制の強化ではありません。

所有者不明や境界不明という長年の課題に終止符を打ち、森林が持つ本来の価値を社会に還元するためのシステムアップデートです。

公告期間の短縮や同意要件の緩和は、現場のスピード感を劇的に変えるでしょう。

山を所有するすべての人は、この変化を「自分事」として捉え、自治体や専門機関と連携しながら、次の世代へ健全な森林を繋いでいくための行動を開始すべき時が来ています。

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この記事を書いた人

SEO/UIUXを中心としたwebマーケティングを6年近くやっている森好きwebマーケターです。

「グリビズ!」では「グリーンにはたらく」というコンセプトで、「自然に関わりながら、個人で持続的にはたらく」方法について発信しています!

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