「パソコン1台で自由に稼ぐ」という、私たちが信じて疑わなかった成功のテンプレートが、今、音を立てて崩れています。
生成AIの登場により、情報を整理し、分析し、資料を美しく整えるという「ホワイトカラーの付加価値」は、1回数円のAPIコストへと暴落しました。
そんな中、アメリカのテックエリートや投資家たちが熱狂している新たな生き方があります。それが「ブルーカラー・ビリオネア(Blue-Collar Billionaire)」。
渡しは、京都大学で林業研究という「ブルーカラー」の現場をフィールドワークで渡り歩き、その後ITベンチャー→外資系コンサルティングファームという「ホワイトカラー」を経験してきました。その両極端の現場を見てきたからこそ断言できます。
「頭がいい人ほど、今すぐ泥臭い実業(ブルーカラー)にチャレンジしよう」。
本記事では、ブルーカラービリオネアに関する基本情報と私の意見を整理していきます!
ブルーカラー・ビリオネアとは何か?:単なる「力仕事」ではない
「ブルーカラー・ビリオネア」とは、配管、建設、清掃、廃棄物処理、林業といった、いわゆる「現場仕事」の領域に、最新のテクノロジー、ファイナンス、マーケティングを持ち込み、圧倒的なシェアと利益を築き上げた新世代の資産家たちです。
彼らの戦略は極めて合理的です。
「汚い・きつい・危険」を参入障壁(堀)にする
ITエリートが嫌がる領域には、GAFAすら入ってきません。
生産性が低い業界をハックする
FAXと電話が主流の古い業界に、CRMや生成AIによる自動化を持ち込むだけで、無双状態になれます。
物理的アセットを独占する
ネット上のデータと違い、土地、建物、重機、そして「現場のオペレーションノウハウ」は、コピーが不可能です。
ホワイトカラー崩壊論の正体:なぜ「机の上」はリスクなのか
渡しがホワイトカラーやってきた仕事は、非常にエキサイティングで、かつ「高単価」でした。
しかし、そこには常に拭いきれない「虚無感」と「リスク」が同居していました。
それは、「再現性の罠」です。
ホワイトカラーの仕事は「コピー可能」である
ホワイトカラーの仕事の大部分は、論理的な正解を導き出すプロセスです。
しかし、「論理的に正しい」ということは、裏を返せば「誰がやっても(あるいはAIがやっても)同じ結果になる」ということです。
SEO・広告運用
→かつては職人技でしたが、今はAIによる自動入札とアルゴリズムの自動最適化が主流です。
コンサルティング
→スライドの構成や市場分析の型は、ChatGPTが数秒で出力します。
再現性が高い世界では、常に「自分より安く、自分より速く処理できる存在(若者、あるいはAI)」との椅子取りゲームを強いられます。
人間というハードウエア老いていきます。そんな消耗戦に身を置いていては、いつか限界が来ます。
京大での林業研究が教えてくれた「身体性」という防壁
僕は京都大学時代、フィールドワークで山に入り、チェーンソーで実際に木と向き合いながら林業の研究をしていました。
そこで見たのは、ホワイトカラーの正論が一切通じない、「無数の不確定変数」です。
- 斜面の角度、土壌の粘度、木の重心、天候の急変。
- センシング技術でも捉えきれない、無数のアナログな変数。
これらを処理するには、脳だけではなく、「身体性」を伴う感覚が必要です。
当時、僕は「林業なんて儲からない、これからはITのレバレッジだ」と思って山を下りました。
しかし、外資コンサルを経て一周回った今、結論は逆転しました。
「AIが最も模倣しにくいのは、この泥臭い現場の『センシングと判断』である」と。※正確にいうと、模倣はできるけど、そのコストがなかなか下がらない。
大AI時代に求められるホワイトカラーのキャリア戦略
これからの時代、画面の中だけで完結する「一つの肩書き」に依存するのは、極めてリスクの高いギャンブルです。
私が提唱するのは、「半分ホワイトカラー、半分ブルーカラー」として、脳と身体の両方で稼ぐポートフォリオ戦略です。
ステップ1:ホワイトカラーのスキルを「最適化ツール」として使う
まずは、デジタルマーケティングや財務、生成AI活用などのスキルを徹底的に磨きます。ただし、これらはあくまで「戦い方(OS)」に過ぎません。 このスキルを使い、「非効率なまま放置されているリアルな現場」をどう効率化し、価値を最大化するかを徹底的に考え抜くフェーズ&経済的資本を作りましょう。
ステップ2:身体を動かし「誰かの役に立つリアルな仕事」を1つずつ作る
ここが最も重要です。種銭ができたら投資に回す……といった空虚な話ではなく、実際に外に出て、泥臭く手を動かし、地域や誰かの「不便」を解消する仕事を自分の手で作ります。
- 地域の便利屋から始める: 地域のボランティアに入り、お年寄りの困りごと(電球交換、庭の手入れ、買い物代行)を解決する「便利屋さん」を立ち上げてみる。
- 物理的なインフラを作る: 自分の手で薪棚を作り、こじんまりとしたキャンプ場を運営してみる。あるいは、古民家の修繕を自ら行い、宿泊場所として再生させる。
これらは一見、効率の悪い「小商い」に見えるかもしれません。しかし、これこそがAIには絶対に真似できない「身体性」と「信頼」の蓄積です。
なぜこの戦略が「最強のヘッジ」になるのか?
あなたが40代、50代になり、若者やAIの圧倒的な情報処理能力に勝てなくなる日は必ず来ます。その時、PCスキルしかない人は市場価値を失い、居場所をなくします。
しかし、「AIを使いこなして実業を効率化しつつ、地域に根ざした物理的な資産と、現場でしか得られないアナログなノウハウを独占している人」の価値は、年を追うごとに希少性が高まります。
「あの人に頼めばなんとかしてくれる」という現場の信頼と、物理的に存在するキャンプ場や宿泊施設。これらは、AIがどれだけ進化しても1ミリも代替できない「最強の差別化要素」になります。
結論:エリートがやりたがらない「地味な実業」をハックせよ
「グリビズ」が発信し続けているのは、派手な成功物語ではありません。
エリートが「効率が悪い」と切り捨てる、地味で泥臭いスモールビジネスの中にこそ、真の自由があるという思想です。
- ホワイトカラーの論理(Marketing / Finance): 仕組みを整える知恵
- ブルーカラーの身体性(Physical / Sensing): 現場で役に立つ実力
この二つを掛け合わせることで、初めて「AIに怯えない、真にサステナブルなキャリア」が見えてきます。
今の仕事に疲れ、画面の中の数字が虚しく感じているなら、一度キーボードを置いて、外に出てみてください。地域のボランティアでも、薪割りでも構いません。「誰かの役に立つ、リアルな手応え」の中に、AIが一生かかっても到達できない、あなただけのビジネスの種が転がっています。

