実家じまいの費用が足りるか不安になる人は少なくありません。片付け、登記、解体、売却が重なると、どこで現金が必要になるのか分かりにくくなります。
この記事では、費用相場だけでなく、先払いになりやすい費用と売却代金から差し引きやすい費用を分けて整理します。相続放棄を考えている場合に、家財処分や売却を先に進めてよいかも確認できます。
補助金、税金の特例、相続登記の期限、放置した場合の固定資産税や管理リスクまでまとめます。契約前に読むことで、親族間の負担や支払い時期を話し合いやすくなります!
この記事のポイント!
- ✔まず名義・相続人・放棄の意向を確認!
- ✔先に払う費用と売却代金から払う費用を分ける
- ✔補助金は工事前申請が基本です!
- ✔相続放棄の前に家財処分や売却をしない
実家じまいの費用相場と誰が払うか
実家じまいとは、親の家を片付け、必要に応じて相続登記・売却・解体・賃貸・処分まで進める一連の対応です。最初に、必要な費用と支払う時期を分けて確認しましょう。
費用は、家の広さ、残っている家財の量、道路や隣地との関係、地域の業者の数や料金で大きく変わります。相場だけで判断せず、誰がいつ払うかを先に決めましょう。
| 費用項目 | 内容 | 支払いの目安 |
|---|---|---|
| 片付け・遺品整理費 | 家財の仕分け、搬出、簡易清掃 | 数万円〜数十万円が目安。量により大きく変動 |
| 不用品処分費 | 家具、家電、生活用品などの処分 | 品目、量、搬出条件で変動 |
| 解体費 | 建物の解体、廃材処分、整地 | 木造でも100万円を超えることがある |
| 相続登記費用 | 不動産の名義を相続人へ変える手続き | 登録免許税、書類取得費、専門家報酬など |
| 測量費 | 土地の境界や面積を確認する費用 | 土地の状況や隣地数で変動 |
| 仲介手数料 | 不動産会社へ売却を依頼したときの報酬 | 売買契約時・決済時に分けて払うことが多い |
| 譲渡所得税 | 売却益が出た場合の税金 | 売却翌年の確定申告で確認 |
| 固定資産税 | 不動産を持っている間にかかる税金 | 所有している限り負担が続く |
親が生きているなら、原則として親のお金から支払えるか確認します。親が亡くなった後は、相続人で話し合い、立て替えた人へ遺産分割や売却代金から精算する流れが一般的です。
POINT
相続人が複数いるときは、立替者・負担割合・売却代金からの精算方法をLINEや合意書で残しましょう。領収書と見積書も必ず保管してください!
親が認知症などで判断能力が低下している場合、子どもが勝手に実家を売却できない可能性があります。売却や大きな契約を進める前に、司法書士や弁護士へ確認しましょう。
実家じまいの進め方を先に知りたい場合は、実家じまいの手順と費用・期限の注意点も合わせて確認すると、親族との話し合いが進めやすくなります。
お金がないときの手順と支払時期の比較
お金がないときほど、先に契約するのは避けましょう。最初に確認するのは、名義、相続人、住宅ローン・抵当権、固定資産税、空き家の状態、売れる可能性です!
特に相続登記は、2024年4月1日から申請が義務化されています。不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内の申請が必要です。(出典:法務省「相続登記の申請義務化について」)
- 今日やること:登記簿、固定資産税通知書、権利証、親の通帳や保険関係書類を探す
- 今日やること:家の外観、室内、雨漏り、残置物の写真を撮る
- 今日やること:親族へ「単独で費用負担や処分を決めない」と伝える
- 1週間以内:不動産会社へ現況買取と仲介売却の査定を依頼する
- 1週間以内:片付け業者、解体業者から相見積もりを取る
- 1か月以内:売る、貸す、解体する、相続放棄を検討する、のどれに進むか親族で決める
次に、いつ支払うかを確認します。先払いが必要な費用を把握すると、売却代金が入る前の現金不足を避けやすくなります。
| 費用 | 支払時期の傾向 | 売却代金から差し引けるか |
|---|---|---|
| 片付け費 | 作業前後に支払うことが多い | 契約内容により決済時精算できる場合あり |
| 解体費 | 契約時・完了時払いが多い | 売却条件により精算できる場合あり |
| 相続登記費用 | 申請前後に必要 | 一部を売却経費として扱えるかは内容確認が必要 |
| 測量費 | 売却活動中または契約後に発生 | 譲渡費用になる可能性がある |
| 仲介手数料 | 売買契約時と決済時に分けることが多い | 売却代金から支払いやすい |
| 譲渡所得税 | 売却翌年の確定申告時期 | 売却後に資金を残しておく必要あり |
注意!
相続放棄を考えているなら、家財の売却・処分や不動産の売却を先に進めないでください。あとで相続を受け入れた行為と見られるリスクがあります。
売却代金から差し引きやすい費用には、仲介手数料、登記関連費用の一部、測量費、残置物撤去費、解体費などがあります。ただし、契約内容や決済時期で扱いが変わるため、見積書と売買契約書で確認しましょう!
先にしてはいけないことは、補助金の申請前に解体工事を始めること、見積書なしで不用品回収を依頼すること、親族の同意なく高額な契約をすることです。費用の内訳を残してから進めましょう。
費用を下げる方法と後払い・売却代金充当の注意点
費用を下げる基本は、作業量を減らし、比較できる見積書を集めることです。片付けも解体も、依頼範囲が広いほど費用が上がりやすいため、自分たちで確認できるものを先に分けておきましょう。
片付けでは、貴重品、権利証、通帳、保険証券、固定資産税通知書、契約書類を先に探します。売れる家財は買取に出し、処分量を減らすと見積額が下がる可能性があります。
| 方法 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|
| 現況買取 | 片付けや解体の先払いを減らしやすい | 買主が撤去・解体リスクを負う分、価格は下がりやすい |
| 古家付き土地で売る | 解体せず売却活動を始められる | 買主が見つかるまで固定資産税や管理が続く |
| 仲介売却 | 高く売れる可能性がある | 片付け、測量、解体などの先払いが必要になる場合がある |
| 残置物込み売却 | 大量の家財処分を減らせる場合がある | 何を残せるか、契約書で明確にする必要がある |
家財を残したまま売る場合は、売主が撤去する物、残してよい物、買取価格に含まれる撤去費、引渡し後の責任を契約書で確認します。口頭だけで決めると、追加請求や引渡し後のトラブルになりやすいです。
CHECK
- 見積書に作業内容と数量が書かれているか
- 追加料金が発生する条件が明記されているか
- 処分しない物、探してほしい物を伝えたか
- 買取品の金額と扱いが分かるか
- キャンセル料の条件を確認したか
- 一般廃棄物の収集運搬など、必要な許可の確認をしたか
遺品整理サービスでは、料金や作業内容に関する相談が国民生活センターに寄せられています。契約前に複数社を比較し、即決せず書面で確認しましょう!(出典:国民生活センター「遺品整理サービスでの契約トラブル」)
後払い可と書かれていても、すべての費用を売却代金で払えるとは限りません。決済日に誰がいくら受け取り、どの費用を差し引くかを不動産会社と事前に確認してください!
実家じまいの費用内訳をさらに細かく確認したい場合は、実家じまい費用の相場と内訳、手順と注意点で、費用項目ごとの考え方を確認できます。
補助金・登記・税金の期限と注意点
補助金や税金の特例は、使えると負担を減らせます。ただし、申請時期を過ぎたり条件を満たさなかったりすると使えないため、契約前・工事前に確認しましょう!
空き家の解体補助金や助成金は、自治体ごとに制度が異なります。対象空き家、所得要件、申請者要件、工事前申請、予算上限があるため、同じ市町村でも年度で内容が変わることがあります。
CHECK
- 対象地域に入っているか
- 対象建物の条件を満たすか
- 申請期限と予算残額はどうなっているか
- 工事前に申請が必要か
- 交付決定前に契約してよいか
- 必要書類は何か
- 見積書の形式や業者条件はあるか
- 他制度との併用はできるか
補助金は後払い精算になることが多く、いったん工事費を立て替える必要がある場合があります。補助金が出る前提で契約しないことが大切です。
- 相続登記:2024年4月1日から義務化。不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に申請が必要です。正当な理由なく怠ると過料の可能性があります。(出典:法務省「相続登記の申請義務化について」)
- 相続人申告登記:すぐに遺産分割がまとまらない場合に検討できます。相続人であることを申し出る制度です。
- 空き家の3,000万円特別控除:一定の要件を満たす家屋や土地の売却で使える可能性があります。昭和56年5月31日以前の建築、売却前後の解体や耐震改修、適用期限、確定申告が重要です。(出典:国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」)
税金がかかるかは、取得費、売却価格、譲渡費用、特例の有無で変わります。売却してから慌てないように、売却前に税理士へ確認しましょう!
注意!
相続登記をしないまま売却を進めると、決済までに手続きが間に合わない場合があります。登記、測量、税金の確認は同時に進めてください。
山林を相続した場合の登記費用を知りたい方は、山林の相続登記にかかる費用はいくら?で、2024年4月からの義務化と費用の考え方を確認できます。
相続放棄と放置リスクの注意点
相続放棄を考えている場合は、片付けや解体の前に確認が必要です。相続放棄は、原則として自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述します。(出典:裁判所「相続の放棄の申述」)
家財の売却、預貯金の使用、不動産の売却、解体などは、相続を受け入れた行為と見られるリスクがあります。処分前に専門家へ確認しましょう!
- 相続放棄前に、価値のある家財を売らない
- 親の預貯金から片付け費や解体費を出さない
- 不動産の売却契約をしない
- 建物の解体契約をしない
- 保存のために必要な最低限の管理と、財産処分を分けて考える
相続放棄後も、現に占有しているなど一定の場合には保存義務が問題になることがあります。鍵の管理、倒壊、漏水、近隣被害への対応を完全に無視できるとは限りません。
相続人全員が相続放棄する場合、必要に応じて相続財産清算人の選任が問題になります。費用や手続きが発生するため、早めに弁護士へ確認しましょう。
注意!
実家を放置すると、老朽化、近隣トラブル、防犯上の問題、固定資産税、管理費用が続きます。費用をかけないつもりでも、結果的に負担が増えることがあります!
固定資産税は、更地にしたら必ず6倍、放置したら必ず6倍とは断定できません。ただし、特定空家や管理不全空家への勧告などにより、住宅用地特例が受けられなくなる場合があります。(出典:国土交通省「空き家対策 特設サイト」、国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報」)
山林、農地、売れにくい土地がある場合は、2023年4月27日から始まった相続土地国庫帰属制度の対象になる可能性があります。ただし、要件審査と負担金があり、無料で引き取ってもらえる制度ではありません。(出典:法務省「相続土地国庫帰属制度の概要」、法務省「相続土地国庫帰属制度の負担金」)
農地を相続したくない場合の考え方は、「いらない農地」の相続を回避・放棄する現実的な手段で整理しています。山林を手放したい場合は、相続土地国庫帰属制度で国にいらない山林を返す条件も参考になります。
まずは、実家の名義、相続放棄の意向、売却できる可能性を確認しましょう。片付けや解体を契約する前に、支払時期と売却代金から精算できる費用を表にしておくと、親族との話し合いが進めやすくなります。
相続放棄、登記、税金、補助金は、順番を間違えるとやり直しが難しい場合があります。個別の判断は、契約前に司法書士、税理士、弁護士などの専門家へ確認してください。

