山林を保有し続けることは、単に土地を持っているという以上に、維持管理のコストや法的な賠償責任を負い続けることを意味します。
また、資産価値が低い山林ほど、放置によるリスクが深刻化しやすいケースもあり、デメリットの検討は山主である以上、慎重に行うべきです。
今回は、山林を所有する上で避けて通れない具体的なデメリットと、知っておくべき責任の範囲を元京都大学森林科学科のライターが解説します。
山林所有(保有)のデメリット
山林を持ち続けることで発生する具体的な負担とリスクを整理していきます!
固定資産税など維持コストの継続的な発生
前提として、山林の評価額が低く、市区町村内の合計課税標準額が30万円(免税点)未満であれば固定資産税はかかりません。
しかし、地目や面積によっては課税対象となり、活用していない土地に対して税金が流出し続けることになります。
草刈りや倒木処理の負担と重機費用の発生
安全管理には多大な労力がかかります。
下草刈りや境界付近の整備を専門業者に外注すれば、1回で数十万円の費用がかかることも珍しくありません。
自前で整備する場合でも、チェンソーや刈払機の購入費、状況によってはバックホー等の重機レンタル費が発生します。
建築用材としての収益性と投資リターンの低さ
国産材の価格は長期的に低迷しており、木を売って管理費や固定資産税を賄うことは極めて困難です。
かつてのような「木を育てて売る」というビジネスモデルでの投資リターンは期待しにくく、純粋な経済的メリットは乏しいのが現状です。
【参考情報】 林野庁|木材価格の動向
買い手が見つからず売却出口がない
最大の懸念は、手放したい時に手放せない流動性の低さです。仲介手数料が安いため一般的な不動産会社が取り扱いを渋るケースが多く、数年にわたって売りに出しても成約しない「負動産」化するリスクがあります。
【参考情報】 法務省|相続土地国庫帰属制度(引き取りのハードル)
不法投棄や鳥獣被害の発生源となるリスク
管理不全の山林はゴミの不法投棄を招きやすく、犯人が不明な場合は土地所有者が撤去費用を負担しなければなりません。
【参考情報】 環境省|不法投棄対策
また、荒廃した山林は大型哺乳類の潜み場所となり、近隣の農作物を荒らす原因として地域トラブルに発展するケースもあります。
隣接する民家損壊による損害賠償責任
山林所有者が最も注視すべきは法的責任です。
民法717条(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)により、自分の山の木が倒れて隣の家や車を壊した場合、所有者は過失がなくても損害賠償責任を負う可能性があります(無過失責任)。
単に「道をふさぐ」程度の倒木であれば大きな賠償にはなりにくいですが、人的・物的損害は致命的なリスクとなります。
【参考情報】 e-Gov|民法第717条(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)
デメリットを超える山林の魅力
最後に、ここまで述べてきたようなデメリットがある一方で、現在のトレンドを活かした独自の価値を見出すことも可能です。
ヤマカス等のサービスによる収益化の可能性
負債だった山林をレジャー資産に変える新しい手法です。自分の山をキャンプサイトとして貸し出し、管理を一部委託することで、固定資産税以上のキャッシュを生み出せる可能性があります。
参考:TAMAKAS
プライベートキャンプ場としての利用価値
誰にも邪魔されない空間を確保できる体験価値は、コロナ禍以降急激に高まっています。
整備そのものを趣味として楽しむ層にとって、山林は究極のプライベートスペースになります。
森林組合との連携による長期的な資産管理
地元の森林組合と管理契約を結び、適切な間伐を行うことで、森林の多面的機能を維持しながら「健全な資産」として次世代へ引き継ぐことが可能です。

まとめ
山林保有には、維持費、管理負担、賠償リスク、出口の欠如という明確なデメリットが存在します。
これらを放置することはリスクを膨らませることに他なりません。
一方で、現状を正しく把握し、新しい収益化サービスや国の制度を適切に活用することで、リスクをコントロールしながら山林のポテンシャルを活かす道も見えてきます。
まずは自分の山林の境界と現状を確認し、早期に対策を講じることが重要です。

